Q 役員に報酬や賞与を支給する際には、どのような点に注意すればよいでしょうか?
A 法人税法上、原則役員への報酬および賞与は、損金(税務上の経費)になりません。損金として認められるように、「事前確定届出給与」又は、「定期同額給与」といった方法をうまく活用するとよいでしょう。
<解説>
役員報酬・賞与の税務上の取り扱い
一般的に中小企業の場合、役員を兼ねた少数の株主が会社を支配していることがほとんどです。従って、役員報酬・賞与はいわゆる「お手盛り」で決まってしまうことが多く、法人税額を少なくする利益操作に使われることが少なくありませんでした。
このような状況下では課税の公平性が失われるため、法人税法では役員報酬や賞与を、原則全て損金とは認めないこととし、損金算入を認める場合の役員への支給方法を限定しています。
そのうち、一般的な非上場の中小企業においては、以下の2つの方法で支給した役員報酬が損金として認められています。
1.事前確定届出給与
(1)「事前確定届出給与」は、従業員と同時期に役員へ賞与を出したい、または、非常勤役員への報酬を年に一度、まとめて支払っているといった場合、この方法は非常に有効です。
この方法を使い、損金として認められるには「当期は、役員の誰に、いつ、いくら支払う」といった事項を定時株主総会等で決議後、管轄税務署へ所定の日までに届出をし、その通りに支給する必要があります。
届出の期限は、事前確定届出給与を定めた日(役員が、新事業年度の職務の執行を開始した日の方が早ければ執行開始日)より1カ月を経過する日、もしくは、新事業年度開始の日から4カ月を経過する日のいずれか早い日までとなります。
(2)事前確定届出給与における注意点
事前確定届出給与は、届出の通りに支給がされない場合、その支給した全額が損金になりません。
例)12月に100万円を役員へ支給する旨の届出をしたが、実際は12月に80万円の支給のみであった場合。
80万円全額が法人税法上は損金不算入。
*支給された役員については80万円が所得税の課税対象へ算入
2.定期同額給与
(1)「定期同額給与」は、支給時期が1カ月以下の一定の期間ごとに、事業年度内の各支給時期に、同額を支給するという給与です。なお、この定期同額給与については、所轄税務署への届出は不要ですが、定時株主総会等で決議した内容を、議事録等に記録して保管する必要があります。
(2)定時同額給与における注意点
定時給与の金額改定は、新事業年度開始の日から3カ月を経過する日までに行われた場合、その他一定の事由に該当する場合には認められます。詳しくは、下記の国税庁のHPをご確認下さい。
参考HP
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5206.htm
(国税庁タックスアンサ-)