Q 事業に使用するためにパソコン等を購入した場合、税務上一時期に全額経費になるのでしょうか?
A 事業に用いられる資産を購入した場合、現金を支払った一時期に全額損金(税務上の費用)処理できるものと、できないものがあります。
<解説>
1.減価償却の概要
企業が、継続的長期にわたって使用する目的で所有する資産を、固定資産といいます。そのうち使用又は時の経過によって、その価値が減少する資産を減価償却資産といいます。
減価償却資産の取得に要した金額は、たとえ少額であっても、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり費用配分していくべきものです。
減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を、一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続です。税務においては、この使用可能期間に当たるものとして、法定耐用年数が定められ、償却方法についても一定の制限を行い、損金に算入できる償却限度額を定めています。
しかし、少額な減価償却資産についてまで、長期にわたり償却計算を行ない、管理していくことは、企業にとって煩雑で手数がかかるため、少額な減価償却資産については、一時に損金処理できるよう認められています。
2.税法上の一時期に損金処理できる基準
具体的な税法上の一時期に損金算入できる基準は、以下のようになります。
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取得価額 |
損金算入時期 |
① |
10万円未満 |
一時期に全額損金算入
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② |
10万円以上20万円未満 |
資産に計上し、3年間にわたり損金算入 |
③ |
10万円以上30万円未満 |
一時期に全額損金算入(*)
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④ |
30万円以上 |
資産として計上し、税法上の法定耐用年数、償却方法に従い徐々に損金算入 |
なお、上記表の取得価額(購入代金+付随費用)に消費税額が含まれるかどうかは、企業が採用している消費税の経理処理方法によります。税込経理であれば税込で、税抜経理であれば税抜で判断します。
(*上記③については、資本金1億円以下の青色申告の中小企業者等が、平成24年3月31日までに取得した資産に適用されます。損金算入が認められる年間総額は、300万円までです。)
【参考HP】 (国税庁タックスアンサ-)