Q 社長の自宅の一部を会社の事務所として使用しているので、会社に賃貸したいと思っています。どうすればよいでしょうか?
A 社長個人と会社との間で適正な家賃を定めて、事務所の賃貸借契約を締結してください。
<解説>
社長の自宅の一部を事務所として使用している場合、適正な家賃を定めて、賃貸契約書を作成する必要があります。その上で毎月定期的に家賃の支払いを行ってください。会社が支払った家賃は会社の経費となります。
1.賃貸料の設定方法
自宅の家賃をどのようにして決めたらよいのか迷うところです。持ち家の場合は通常の近隣の家賃相場を勘案して使用面積に応じた金額を定めるのがよいでしょう。
自宅が借家である場合は、最初に大家さんから会社の事務所として使用することの許可を受けてください。そのうえで月額の家賃をベースに事務所として使用している面積割合等、合理的な基準で家賃を定めるとよいでしょう。
2.賃貸料受取り側の取り扱い
社長個人の持家を会社に賃貸して家賃を受け取った場合、社長はその家賃収入について給与所得と合わせて所得税の確定申告をしなければなりません。確定申告にあたって、ご自宅の固定資産税、建物の減価償却費、火災保険料、借入がある場合には利息などについて、事務所使用部分に応じた金額を、不動産所得の計算上必要経費とすることができます。自宅が借家の場合は、会社から受取った家賃と大家さんへ支払った家賃が同額となりますから不動産所得は生じませんので、確定申告の必要はありません。
3.按分、その他経費処理できる科目
自宅を会社の事務所として使用する場合、電気、水道、ガス等も使用します。それらの料金についても会社の経費として処理することができます。経費として処理するためには家賃とは別に支払うのか、家賃に含めた取決めにするのか事前に定めておく必要があります。
電気水道料等の実費を家賃とは別に支払うのであれば、自宅と会社の使用割合などの合理的基準をもって按分してください。
4.個人事業者が自宅を事務所として使用した場合の取り扱い
個人事業者がご自身の持ち家を事務所として使用している場合に、事業主個人へ家賃を支払ったとしても個人事業の必要経費とはなりません。また、受取った家賃も不動産収入とはなりません。
しかし、持ち家を事務所として使用しているのですから、ご自宅の固定資産税や火災保険料、建物の減価償却費などについて事務所使用部分に応じた金額が個人事業の必要経費となります。
借家である自宅を事務所として使用している場合には、支払家賃のうち事務所使用部分に応じた金額が個人事業の必要経費になります。
電気水道料金については持ち家・借家にかかわらず、事務所使用部分に応じた金額が個人事業の必要経費になります。