Q 収入印紙を購入した場合「租税公課」として経理処理しますが、収入印紙って税金なのですか。どんな時に必要になるのか基本的なこと教えてください。
A 収入印紙は国に対する手数料、罰金、訴訟費用、不動産登記の登録免許税等を徴収する手段として財務省が発行する証票です。郵便切手は郵便の手数料を納める手段として郵便に貼付されますが、収入印紙も同じく国に収める手数料や税金その他の収納金を納める場合に使用します。額面は1円から10万円まで31種類あります。
<解説>
2.印紙税とは
印紙税は経済的取引に関連して作成される文書に対して課税される税金で、印紙税法に規定されています。印紙税が課税される文書は20種類に分類されそれぞれに番号が付されていますので、実務では例えば5号文書などと表現します。印紙税法の別表1には課税物件、課税標準、税率等が記載されています。これは一般的に印紙の一覧表として利用されているものです。別表1に記載のない文書は課税されない不課税文書、と呼ばれます。別表1に記載された文書で非課税物件と記載のあるものは、非課税文書となります。(例えば領収書で3万円未満のもの)印紙税の課税物件は経済取引そのものではなく、取引によって生ずる経済的利益に税を負担する力があると考えて課税されるものですから「流通税」とも言われています。
3.印紙税の納税義務者、納付方法
領収書、手形、契約書等の作成者が収入印紙をそれらの文書に貼り付ける方法により印紙税を納税します。文書に印紙を貼り、その文書と印紙の彩紋(印紙のギザギザ)とにかけて、消印を押さなければなりません。消印がなければ納税したことになりませんので注意して下さい。
4.印紙税の税額
契約書に記載された金額に応じて別表1に定められている税率を適用します。1年契約で毎月の月額が記載されている契約書においては、月額×12月の金額が課税対象の金額となります。
5.消費税の金額について
消費税を区分表示している場合は、記載金額に含まれないことになります。例えば、請負契約の場合、契約書に請負金額525万円、うち消費税額25万円と記載したときは500万円が課税対象となります。
6.印紙を間違えて貼付した場合
印紙を間違えて貼ってしまったときは、納税地の税務署に間違えた印紙の貼付された文書とともに「印紙税過誤納確認申請書」を提出して還付してもらいます。
7.契約書に印紙を貼り忘れた場合
印紙を貼り忘れてしまった場合は、過怠税というペナルティが課せられます。本来納付すべき印紙税の額プラスその2倍の金額(当初納付不すべき金額の3倍)を納付しなければなりません。
また消印を忘れた場合には印紙税の金額と同額の過怠税が徴収されます。ただし、調査を受ける前に自主的に不納付を申し出たときは本来の印紙税の金額の1.1倍の納付となります。
8.債権債務を相殺した場合の受取書
売掛金と未払金を相殺した場合において、その領収書を発行したときは金銭、有価証券の受領事実がないため印紙税は対象になりません。
しかし、相殺の事実が文書上明らかでないときは、印紙税対象となりますので、領収書の適用にその事実を明記してください。また一部相殺、残金受取の場合には、受取金額が印紙税の対象となります。
9.申込書、注文書、依頼書、念書 等の文書の取扱い
契約は、申込みと承諾によって成立するものですから、契約の申込み事実を記載した申込書、注文書、依頼書などは通常印紙税の対象にはなりません。しかし、これらの表題の文書であっても、その記載内容が契約の成立を証する文書である場合は契約書になるものがあります。
念書のように当事者間の了解に基づいて契約が成立したことを証明する文書、契約内容の変更もしくは補充について取り決めた念書は課税対象となります。
10.一つの文書に2以上の課税事項がある場合
ひとつの文書に課税事項が2つ以上あって異なった号の課税事項であるときは、①該当する号のうち最も高い文書、②税率が同じ場合は小さい号の文書、になります。例えば工事請負及びその工事の手付金の受取事実を記載した契約書は、工事請負契約については2号文書、受取書は17号文書に該当しますから、号の小さい2号文書課税となります。
11. 委任契約
委任契約については原則不課税となりますが、具体的に記載されている内容によって異なることがありますので注意してください。