2011年度税制改正において「雇用促進税制」が創設されました。
この規定は青色申告法人が2011年4月1日から2014年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用されます。優遇措置は、雇用保険の一般被保険者の純増人数に対して、1人あたり20万円を乗じた額を、法人税額の10%(中小企業者の場合は20%)を限度に税額控除できます。
適用要件は、①一定要件の雇用の増加、②事業主都合による離職者がいないこと、③支払給与額の増加、等の要件を満たしていることが必要です。
申告にあたっての留意点
公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局又は公共職業安定所で上記要件の確認を受け、雇用促進計画の達成状況を確認した旨を記載した書類の写しを確定申告書に添付する必要があります。雇用促進計画は平成23年8月1日から受付が開始されます。
適用要件
① 事業年度末時点の雇用保険の一般被保険者数が、前事業年度末時点より10%以上かつ5人(中小企業者は2人)以上増加していること。従業員数の増加は、各地の公共職業安定所(ハローワーク)が確認します。週20時間以上の勤務などで雇用保険に加入しているパートやアルバイトも対象となります。
中小企業者とは資本金等が1億円以下の法人、資本もしくは出資を有しない法人のうち従業員数1000人以下の法人、大会社の所有に属していない法人等です。
② 前期および当期に事業主都合による離職者がいないこと
この要件は、前年度末に事業主都合で従業員を解雇し、見かけ上の雇用者数を増やすような不適切な操作を防ぐために設けられています。
③ 給与等支給額≧比較給与等支給額
イ) 給与等支給額とは、当期の所得金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対して支給されるものに限る)の支給額をいいます。
ロ) 比較給与等支給額とはつぎの算式により計算した額をいいます。
前期の給与等の支給額+(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)
基準雇用者割合=前期末より当期末で増えた雇用者/前期末の雇用者数
この要件を設けたのは、雇用促進税制が、正規から非正規に切り替え労働条件を低下させた上で雇用者数だけを増やしたり、事業年度末に駆け込みで非正規労働者を雇用する誘因になりかねないことを抑止し、質を維持した雇用の増加を図ることが狙いとなっています。
具体的には、支払給与額が、前事業年度の支払給与額よりも、増加しなければ適用を受けられません。